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(4)自転車事故防止へ

子どもにとって自転車は頼もしいパートナー。しかし、注意力が足りなかったり、使い方を間違えたりすれば、危険な乗り物になってしまう。悪質な自転車運転や事故が後を絶たない中、6月に道路交通法が改正された。事故につながる運転を危険行為として明文化し、違反を繰り返す運転手に安全講習を義務付けた。深刻な自転車事故の歯止めになるのか。広島県の自転車事故の現状や改正道交法について、広島県警交通企画課の佐賀剛管理官に聞いた。(迫佳恵)

広島県警交通企画課
佐賀剛管理官に聞く

改正道交法の狙いや広島県の事故状況などを説明する佐賀管理官

誰でも可能性がある自転車事故 子供のうちにルール習慣付けを

「車との出合い頭」多く

広島県の自転車事故の現状は。
 2015年10月末で、交通事故は8926件。そのうち自転車がからむ事故は1603件で約2割を占める。高校生以下の自転車事故は430件で、半数は高校生が占めている。自転車事故の多くは、車との出合い頭による事故だ。
 昨年同期に比べ、事故件数は減っているが、自転車事故の割合は横ばいとなっている。2人乗りや携帯電話を見ながらの運転、右側通行など、軽い気持ちで、あるいは無意識にしている人が多い。自転車は免許がいらず、便利な乗り物だが、一歩間違えれば凶器になりうることを認識してほしい。

改正道交法のポイント、狙いは。
 信号無視や一時不停止、ブレーキのない自転車の運転など、重大事故につながる14項目を危険行為と指定。3年以内に2回摘発された14歳以上の違反者には、3時間の講習(5700円)を新たに義務付けるようにした。受講命令に従わないと5万円以下の罰金になる。事故防止の機運が高まり、指導や取り締まりも厳しくなった。
 広島県内で、危険行為として警察庁に登録されたのは29件(11月10日現在)。そのうち送検は24件、交通切符の交付は5件。多くはハンドル操作を怠るなどの「安全運転義務違反」。次いで、右側通行などの「通行区分違反」。これまで、違反と気付かずに繰り返していることもあり得たが、改正道交法が報道などで注目され、多くの人に改めてルールや制度が広まった。講習先などの周知も進んでおり、事故防止の抑止力につながっていると感じている。

自転車向け保険 検討を

自転車事故の恐ろしさは。
 誰でも、いつでも起こる可能性がある。子どもでも被害者、加害者になってしまう。加害者になると、子どもでも多額な賠償金背負うことにもなる。神戸地裁で2013年、自転車の小学生が